刑法教育
1. 刑法教育の目的 犯罪に対する関心はあっても、刑法学への興味を喚起させ、学習を持続させることは難しい。刑法理論は難解であり、言葉に対するこだわりを軽視することはできないから、授業内容は抽象的になりがちである。Aか非Aかといった二値論理の積み重ねが重視される一方で、「相当性」や「危険性」といったファジィな概念が問題となる局面もある。授業が単なる情報提供に終わることなく、心の底から「納得した」とい […]
1. 刑法教育の目的 犯罪に対する関心はあっても、刑法学への興味を喚起させ、学習を持続させることは難しい。刑法理論は難解であり、言葉に対するこだわりを軽視することはできないから、授業内容は抽象的になりがちである。Aか非Aかといった二値論理の積み重ねが重視される一方で、「相当性」や「危険性」といったファジィな概念が問題となる局面もある。授業が単なる情報提供に終わることなく、心の底から「納得した」とい […]
1 はじめに インターネットは、冷戦時代、アメリカが部分的な核攻撃を受けても国家というシステムが全体として生き残れるようにと、情報資源の分散・共有とコンピュータ・ネットワーク全体の安定性を目的として開発されたといわれている。しかし、それが政府機関や軍、大学などの閉ざされたネットワークから一般社会へと解放され、しかも地球的規模でのコンピュータ・ネットワークへと発展したことから、さまざまな問題が噴出 […]
1 インターネット これは言葉というより、一つの思想と考えた方がいいかもしれない。 情報資源の共有やシステム全体の安定性を目的として、個々のコンピュータをつないだものがコンピュータ・ネットワーク。インターネットとは、このコンピュータ・ネットワーク同士をさらに世界的規模で縦横に結合しあったコンピュータ・ネットワークの「状態」である。ネットワークのネットワークであるから、末端のコンピュータの数は指数関 […]
刑法の言葉には、少しだけ広がりがもたせてある。言葉に幅があれば、社会が変化しても刑法は柔軟に機能することができる。ところが言葉には国語的な制約があるから、刑法が想定していた社会像と現実との隔たりがあまりにも大きくなるとき、刑法がうまく機能しえないという事態が生じる。わいせつでは、いつもこれが問題となってきた。わいせつは、時代によって変化するだけではなく、他のどんな情報よりも鋭敏にメディアを乗り換え […]
組織暴力犯罪とは、 一定の集団によって行われる暴力的犯罪および集団的・暴力的な威嚇を背景にして行われる犯罪のことであるが、 わが国の場合には、 いわゆるヤクザ組織から一部右翼団体や過激派組織による暴力犯罪までを含めることもあり、 組織暴力犯罪の実態はさまざまである。 しかし、 一般には、 組織暴力犯罪とはいわゆる組織暴力団によって行われる犯罪として理解されている。 「暴力団」という言葉は、 「その […]
不正アクセスとは、他人のIDやパスワードなどを不正に使用してコンピュータ・ネットワークに無権限で侵入したり、権限を越えて侵入することをいう。ネットワークに単に侵入するだけの不正アクセスは「ハッキング」と呼ばれることがあり、侵入後にファイルの改ざんや消去などを行う「クラッキング」から区別されることもある。クラッキングは、電磁的記録不正作出罪(刑法161条の2)や電子計算機損壊等業務妨害罪(234条 […]
陳列概念の弛緩 ―「アルファーネット事件」控訴審判決― 関西大学法学部 教授 園田 寿 1 はじめに 判例および学説の多数は、インターネットのホームページやパソコン通信でわいせつ画像データ(サイバーポルノ)を「見せる」行為を刑法175条における「陳列」行為ととらえている。刑法175条はわいせつを「見せる」ことが犯罪の内容であるから、わいせつが通信回線によってアクセス可能な不特定多数の者によって「 […]
index 電気通信基本法 2000年1月28日 (韓国)電気通信基本法 全文改正 91.08.10 法律第4393号 一部改正 92.12.08 法律第4528号(産業標準化法) 一部改正 93.03.06 法律第4541号(政府組織法) 一部改正 95.01.05 法律第4905号 一部改正 96.12.30 法律第5219号 一部改正 97.08.28 法律第5385号(電気通信 […]
被告人は、外国人風の男から改ざんテレホンカードを購入し、通話可能度数に関する磁気情報が正規の度数以上に改ざんされていることを知りながら、それをカード式公衆電話機に挿入して通話に使用した。右テレホンカードは、発行時の通話可能度数が50度であったが、何らかの手段によって105度にまで改ざんされ(押収時の可能通話度数は52度)、またテレホンカードの度数目盛の零度付近から数個のパンチ穴があけられ、裏面にお […]
1 はじめに リンデン・グロスの「ストーカー/ゆがんだ愛のかたち」(秋岡史[訳])が1995年に出版されて、以来「ストーカー」という言葉は急速に広がり定着する。「ストーク(stalk)」とは、「忍び寄る」「(疫病や死が)まん延する」「いばって歩く」こと。意味的には矛盾する内容を含んでいるが、「相手に不安を与える異常なつきまとい」として使用される。もちろん、九五年に突如として「ストーカー」が出現し […]