ネットワーク上の少年に有害な環境に関する報告書要旨

1 「はじめに 〜本報告書の位置付けと構成」 p1〜6  報告書の位置付けについて述べるとともに、委員会の構成及び検討状況、報告書の内容の要旨について記述。

2 「第1章 ネットワーク上の少年に有害な情報環境の緊急性」 p7〜12

 少年を取り巻く現状  ○戦後第4の上昇期を迎えた最近の少年非行情勢の深刻化  ○ネットワークの急速な普及による情報化の進展 という問題が発生。  ネットワーク上の少年に有害な情報対策を緊急に確立する必要性がある。

3 「第2章 コンピュータ・ネットワークと少年」 p13〜30

 第1節 我が国におけるコンピュータ・ネットワークの現状

 パソコン通信やインターネットの最近の急激な拡大の背景には  ○技術革新、ネットワーク上のインフラの整備、ネットワーク上で提供されるサービスの多様化等構造的要因の存在  今後、ネットワークが加速度的に普及し進展する可能性大。

 第2節 少年によるコンピュータ・ネットワークの利用

 実態調査の実施(平成9年10月(社)全国少年補導協会)  調査結果  ○高校生の約2割にコンピュータ・ネットワークの利用経験あり。  ○少年のネットワーク利用は、今後更に拡大することが予想される。  ○「性に関する情報」、「薬物に関する情報」等への嗜好性も、低くない数値を示している。

 第3節 ネットワーク上の少年に有害な情報対策の必要性

 ネットワーク上に各種の情報が存在し、少年に有益、有害なものも現に両方存在。  ○いわゆる有害な情報は、少年問題を複雑化させている要因  ○他のメディアにおいては既に一定の対策あり ex 雑誌、図書、etc.

 ネットワークについては、有料のポルノ画像以外は確立した対策がない。

 情報の流通形態を踏まえた合理的対策の構築が急務。

4 「第3章 ネットワーク上の少年に有害な情報対策を構築するに当たって」 p31〜46

 第1節 ネットワーク上における少年に有害な情報の態様」

「少年に好ましくない情報」  「禁制情報」〜少年にも大人にも好ましくないとされ、基本的には法令によりその流通が禁止される。  「成人向け情報」〜少年にとっては好ましくないが大人には基本的に自由(暴力や残虐な情報等も含まれる。なお、「ポルノ」等ある程度確立したもの以外の情報など、どの範囲を「成人向け」としていくべきか、他のメディアと異なる配慮が必要。)

 第2節 コンピュータ・ネットワークに特有の情報の流通形態

 ネットワーク上の情報に係る少年保護の仕組みを構築するためには、その情報の流通形態、すなわち、情報へのアクセスの容易性、情報発信の容易性、情報流通の広域性・国際性に留意する必要がある。

 特に無料の情報に係る対策を考える場合〜「禁制情報」が紛れ込みやすいという特性に配慮しつつ、情報の送り手や受け手の各段階において合理的な措置を考えていく必要がある。  国際的な対策の動向にも配慮が重要。

 第3節 諸外国における対策

 諸外国は、近年積極的に対策が講じられている。背景に、ネットワークの急速な普及、少年保護を求める国民の声の盛り上がりが存在。  →国際世論となっている。

5 「第4章 提言」 p47〜66

 第1節 コンピュータ・ネットワークに係る少年保護の仕組みの在り方

 情報流通の特性に鑑み、  ○「禁制情報」を排除するための措置の確立  ○情報の発信段階での一定の格付けの導入  ○情報流通段階での格付けの補正  ○情報受信段階での保護者等の措置

などの情報流通の各段階における措置を講じていくことが重要。

 かつ、実質的効果のためには、国民的コンセンサスの形成が肝要。

 第2節 国民的コンセンサスに基づく仕組みを構築するために

 〜公的裏付けを持つ第三者機関の設立の重要性  ネットワーク上に多様な情報、(特に無料サイトの場合)多様な情報発信者が存在。 →発信段階でどのような格付けを採用するか?  ○国民的コンセンサスを形成するために、将来的には、格付けのガイドラインの策定を行う第三者機関の設置も検討していくことが有効。具体的な形態については更に議論が必要。諸外国の例も参考にしつつ、具体化に向けての取組みが必要。

 第3節 情報流通の各段階における具体的措置

 ネットワーク上の「成人向け情報」から少年を隔離し、ネットワーク上から「禁制情報」を排除していくためには、情報の各段階にある者が、それぞれ実効可能な範囲で合理的な措置を講じていく必要。  具体的には、

 ○情報発信者が、「成人向け」「一般向け」などゆるい格付けを行うこと

 ○プロバイダー段階における格付け補正、禁制情報の排除、受信者へのフィルタリング・サービスの提供等の措置を促進すること
 ○民間格付け補正機関を社会として認知し、これに対する支援を与えること
 ○受信者に対する啓発活動、フィルタリングソフトの開発普及を促進すること

 第4節 警察に求めるべきこと

 以上の提言に係る施策は、理念的なイメージを提示したものであり、その実現に向けては、さらに国民的な幅広い議論が必要。このような議論を促進し、少年保護のための国民的な機運を盛り上げるためにも、警察に対しては、当面、

 ○暴力等に関する情報と少年非行との関連に関する調査研究

 ○風営適正化法の円滑な施行
 ○「禁制情報」に関する取締りの徹底
 ○プロバイダー等の自主的措置の促進
 ○関係機関との連携 等 の措置を期待する。

6「おわりに」p67

 提言を踏まえ、委員会の意見を総括。